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人事担当者の求人トレンドと売れるスキル

潟Wェイエイシー リクルートメント   フェロー 黒澤敏浩

■人事ポジション(担当別)の全体動向

 当社の扱う人事職の新規求人数は,不況により2009年に前年比▲40.0%と急減した後に底打ちし,2010年は同+24.5%と増加しました。2011年1〜7月は前年同期比+4.6%と安定して増加しています。
 人事職は,採用・制度・給与社保・労務・教育の5分野に求人が分かれています。それぞれ,2010年の年間新規求人数で,「採用」が362件(前年比+60.2%),「制度」が170件(同▲11.5%),「給与社保」が138件(同+7.0%),「労務」が110件(同+39.2%),「教育」が89件(同+23.6%)となっています。景気の回復と各企業の採用意欲の回復を反映して,採用担当の求人が大きく増加しています。

■「語学力」と「グローバル」の要件が増加

 人事職について,最近の一つの特徴は,「英語力」と「グローバル人事」になるでしょう。
 人事職新規求人に占める「要英語力案件」の比率は,2008年には28.5%だったのに対し,2009年は32.7%,2010年は36.5%,2011年の1〜7月は,38.0%と高まる一方です。外資系企業では,2007年には75.9%の求人が英語力を求めていましたが,2010年にはその比率は86.9%になりました。日本企業では,2007年には8.3%の求人が英語力を求めているのみでしたが,2008年には10.1%,2009年には,13.5%,2010年には16.0%,2011年1〜7月には人事職全体の18.2%の求人で英語力を求めています。「グローバル人事」新規求人数は,不況の影響で2009年は前年比▲54.2%と減りましたが,2010年には同+39.0%と増加。2011年1〜7月も前年同期比+13.0%と増えています。「グローバル人事」には,@「海外駐在員」の選抜・教育・サポート,A「海外現地法人」の人事サポート全般,B「グローバル人事制度」,といった分野がありますが,最近では,特に「グローバル人事制度」設計の求人増加が顕著です。またグローバル人事「専任」比率の上昇も最近の特徴です。

■価値を高める5つのスキルとは?

 現在の求人トレンドから,社内外で人事職のキャリアを築く上で,大事なスキルでは,@「主体性/巻き込み力」A「専門性」B「対人折衝」C「PC処理」D「英語力」の5つが挙げられます。
 人事の仕事は,「低レベルなら誰でもできる。高レベルにはキリがない」あるいは「社内異動で代替できる」とも思われがちです。だからこそ,一通りの能力に加えて,「対人折衝」や「専門性」,そして,「主体性/巻き込み力」といった個別のスキルが求められています。
 具体的には,採用では個別に優秀人材を口説く力,また,大規模な採用スキームを企画し効率的に運用できる力,給与社保では企業規模を問わず内外のアウトソーサーをうまく使う能力,教育では実際に成果・業績の上がる教育,労務では海外・外国人との交渉などです。一方,中小中堅企業での万能型の管理職・メンバーにも根強い需要があります。また,高いPCスキルが前提として求められているケースも多くあります(表計算やデータベースとしてのExcelのスキル等)。自動・簡単・正確な業務処理能力は,創造的業務の前提として重要視されています。英語力は,年々必要性が増していますので,実力を高めていくことをお勧めします。TOEICなら600〜730点を求人の目安にしている企業が多いのですが,実務で使ってみる経験が重要です。800〜900点を目安にする企業もありますが,点数よりも業務上の高度な英語実務経験が求められています。
 業務に取り組むなかで,上記5スキルのうち3つぐらいは意識してやっていくとよいと思います。

(月刊 人事マネジメント 2011年10月号 HR Short Message より)

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グローバル転職マーケット分析の第一人者。潟Wェイエイシー リクルートメントにおける豊富なコンサルティング現場の声とデータに基づいた分かりやすいアドバイスには定評。同社においてコンサルタントの後、人事・事業企画などを担当し、現職。中小企業診断士。日本証券アナリスト協会検定会員。CCE,Inc.認定GCDF-Japanキャリアカウンセラー。日経経済知力テスト(NIKKEI TEST)で全国1位の記録を持つ。東京大学卒。

>> 株式会社ジェイエイシー リクルートメント
 http://www.jac-recruitment.jp/