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ダイレクト・リクルーティングで人材採用の質が変わる

(株)ビズリーチ 人材採用塾 葛原 豊

■日本とアメリカでは中途採用の手法が大きく違う

 アベノミクス効果に背中を押され,活気を取り戻しつつある日本の採用マーケット。あらゆる業界で求人数が増加し,高年収ポジションやメーカー各社の内定が目立ち始めている。人材獲得競争が激化すると課題になるのは,いかにして優秀な人材を採用するかである。そこで日本企業と海外企業の採用手法の違いに着目してみると,両者には採用経路に大きな差があることに気づく(*1)。日本で主流なのは「人材紹介」「転職サイト」だが,アメリカの場合は「社員紹介」「自社HP」「スカウト」「転職サイト」の割合が高い。つまり,アメリカの企業は主体的かつ“攻め”の採用を行っているのだ。

■グローバルスタンダードは“攻め”の採用スタイル

 “攻め”の採用手法はダイレクト・リクルーティングと呼ばれ,「社員紹介」「ソーシャルネットワーキング」「外部の人材データベース(一部の転職サイト)」等を活用し,直接候補者を探し出して自社に引き込む手法を指す。メリットは,求めている人材にピンポイントでアプローチができ,低コストでスピーディーに採用できること。そのため,海外では10年以上前から当たり前のように行われている。例えばグローバル企業の1 つであるGE社では,全世界でリクルーターと呼ばれる採用のプロフェッショナル(元ヘッドハンターや長年採用に取り組んできて実績ある人事担当者)を500人も雇用し,ダイレクト・リクルーティングによって2 万5,000件もの採用を成功させている(*2)。

■日本企業も新しい採用手法の検討が必要

 国内においても,ダイレクト・リクルーティングは外資系グローバル企業を中心に広まりつつある。その一方で,日本企業の採用手法は「人材紹介」が主流で,ダイレクト・リクルーティングは浸透していない。その理由は,エージェントからの連絡を待つだけの人材紹介に比べると,自ら主体的に人材を探し,口説き続けなければならないダイレクト・リクルーティングは手間がかかるからだ。しかし,日本企業も海外企業と同様に,グローバルでの人材獲得競争の土俵に身を置いていることに変わりはなく,企業の成長を実現させるために,新しい採用手法を検討していくことは不可避といえるだろう。

■早く,安価に,優秀な人材を採用するためには?

 人材採用に関わる人と話をすると,「自分の会社では海外の採用手法を取り入れられない」と否定されることがよくある。人事の仕事は中途採用だけでなく,教育研修・制度設計・労務など多岐にわたっているため,中途採用ばかりに労力をかけられないというのだ。確かに,GE社のように全世界で500人ものリクルーターを抱えるというのは難しいだろう。しかし,こうした考え方を真っ向から否定するべきではない。経営戦略上,優秀な人材が必要であれば,どこよりも早く,より安く採用できたほうがいい。
 そこで提案したいのは,まず従業員が知人を紹介しやすい仕組みを作ること。社員紹介は最もハードルの低いダイレクト・リクルーティングの一例である。その後,外部データベース(Facebookやリンクトイン,ビズリーチなど)を活用して,優秀な人材と直接コミュニケーションを取り,自社の魅力を伝えられるようになれば,海外企業と同じように効率的な中途採用が実現できるようになる。中途採用の新しい考え方の1 つとして,ダイレクト・リクルーティングにぜひ注目していただきたい。

(*1) CareerXroads,“2012 Sources of Hire:Channels that Influence”
(*2) Bloomberg Bussinessweek Companies & Industries:http://www.businessweek.com/articles/2013-01-17/executiveheadhunters- squeezed-by-in-house-recruiters

(月刊 人事マネジメント 2013年10月号 HR Short Message より)

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