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Z世代をeラーニングで育てる秘訣

(株)FCEトレーニング・カンパニー 代表取締役社長 荻野純子

 社員育成は集合研修からeラーニングへとシフトしています。Z世代においてはeラーニングのほうが効果的な側面もあり,コロナの動向にかかわらず,主流になっていく可能性があります。そこで,eラーニングを活用してZ世代をいかに育成していくか,その成功の秘訣をご紹介します。

■Z世代の特性とは

 Z世代とはおおむね現在25歳以下の若手を指します。いわゆる「デジタルネイティブ」で,私たちとは大きく価値観が異なります。例えば,情報収集では,Googleなどで記事を検索し,文字でインプットするのではなく,Z世代はYouTubeといった動画サイトを活用します。そのほうが細部までイメージでき,分からないところは繰り返し視聴できるなど,効果的にインプットできるというのです。学習方法でも,Z世代はインタラクティブ(双方向)を得意とします。学校教育でアクティブ・ラーニングを取り入れた影響があると考えられます。加えて,Z世代は目的意識が高く,納得した課題に対しては主体的に根気強く取り組むのも特徴です。

■Z世代の育成方法,その成功の秘訣

【秘訣1】 目的を明確にする
 Z世代には「目的を明確にしたい」という考え方の特徴があります。仕事でも,研修でも“なぜ何のために行うのか”“どんな状態を実現したいのか”を共有することでモチベーションを高められます。例えば,社員研修なら育成したい人材像を具体的に描くことが重要です。人材像は,ともすれば要素の羅列になってしまうので,貴社のビジョンを基に,@知識・スキル,A仕事の仕方,Bあり方・考え方・価値観,という3つの観点で考え具体化しておくといいでしょう。社員には「ビジョン実現のためにこういう人材が必要。だから,これを学んでほしい」と目的をしっかり伝えます。Z世代は,目的を納得できれば主体的に学習します。
【秘訣2】 アウトプットの場を作る
 eラーニングの最大の課題はインプットで終わりになってしまう点にあります。“知っている状態”から“できる状態”にし,“成果の出る状態”にするには,繰り返しのアウトプットが重要です。動画によってインプットしたら,必ずアウトプットする場も作り,フィードバック(追加指導)を行います。こうしたインタラクティブな学習方法は,Z世代には特に効果的です。アウトプットの場は,上司や先輩が設けてもいいのですが,自社内だけではなく,他業種の人とリアルに対話し,広い視野で自分を磨ける場を活用することも,デジタルネイティブとしてボーダレスに情報に触れてきたZ世代には効果的です。私たちが提供するオンライン社員教育ツール「Smart Boarding」では,eラーニングに加えて,アウトプットする場(オンライントレーニング)も設けています。こうしたインプットとアウトプットがセットになったeラーニングサービスを活用するのも1つの手です。
【秘訣3】 知識・スキルをナレッジ化する
 ハイパフォーマーのスキル・知識は会社ごとに違います。よって,その会社ならではの知識・スキルを社内ナレッジ化することが重要です。OJT中心の育成では,教える側の負担が大きく,また育成が属人化するリスクもあります。今は,個社別のプログラム開発や社内動画をコンテンツ化できるツールも増えてきています。それらを活用しながら,オリジナルプログラムを作り上げていくことがカギです。
 これから増えてくるZ世代の育成は,会社の成長にとって必須です。改めて貴社の教育制度について考えるきっかけになれば幸いです。

(月刊 人事マネジメント 2022年4月号 HR Short Message より)

HRM Magazine.

 
 新卒入社した物流企業で法人営業に携わった後、大手人材企業へ入社。法人営業を経てキャリアコンサルタントとなり、突出した実績を築く。その後、大手コンサルティングの人材開発部門で採用と人材育成に従事。2010年に現在のFCEトレーニング・カンパニー起ち上げに参画し、研修やトレーニングプログラムの提供を軸とするコンサルティング事業を確立した。開発したオリジナルコンテンツは80以上。3,000以上の研修・トレーニングを実施し、導入企業のリピート率は90%以上を誇る。2018年にFCEトレーニング・カンパニー代表取締役社長に就任。自ら最前線にて、企業の「自走する組織づくり」を支援。その一環である「動画で学び、ライブでレッスン」をコンセプトにしたオンライン社員教育『Smart Boarding』は、「日本の人事部」HRアワードプロフェッショナル人材開発・育成部門で最優秀賞を受賞した。著書に『xDrive 質問でPDCAは加速する』(キングベアー出版)がある。

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