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テレワークでも評価はできます

(株)オレコン 代表取締役 山本琢磨

 新型コロナウイルスの影響で急遽テレワークを導入した企業は多いと思います。テレワークを導入したのはよいが,出社と異なり日々の作業や行動が目に入りづらくなり評価に関して不安を感じている企業もあります。その結果「テレワークは働きづらい」となりオフィスへ出勤する体制に戻す企業も増えてきています。

■「あいつサボってないか」の誤解

 当然ながらテレワークを導入すると当たり前に行っていたコミュニケーション,作業風景などは見えづらくなります。しかし,顔が見えないから仕事をしていないのではないか,サボっているのではないかという考えは古すぎます。むしろ会社で仕事ができるように見えていた人のアウトプットが実は弱かったといった事実がテレワークでははっきり分かります。出社もテレワークも場所が変わるだけで,やることは同じだとすれば,「場所」という制限を外すことで世界中の優秀な人と一緒に働けるようになります。これはテレワークの大きなメリットです。

■全員テレワークでもうまくいく仕組みとは

 当社は2013年の創業時から全員テレワークです。シフト制でもなく,コアタイムもありません。この働き方で日本全国および時差のある海外スタッフが在籍し,「年商毎期10%以上拡大」「人材定着率40% UP」を実現しています。なぜ自由な働き方でも成長拡大できるのでしょうか。その理由として次の2つの仕組みが挙げられます。
@スタッフ全員が同じ評価制度でいつでも他のスタッフの評価を確認できる
 「評価されない」「何のためにやっているのか分からない」を解消するために「何をしたら報酬が上がるか」を明確にし,テレワーク環境でも本当に頑張っている人を評価する仕組みが必要です。年功序列や上司の感情による評価では「あの人が評価されるなんて」「あいつ全然できないのに」等スタッフの不平不満があちこちで発生します。
 ゲームのステージをクリアするように,仕事の世界でも楽しんで自分のステージを上げていける仕組みが必要なのです。当社では各階層に30個程度のクリアすべき課題がチェックリスト形式で設定されており,それをクリアすると昇進できます。例えば最初のランクの卒業項目は「担当の業務数値10%改善または10%以上のコストカット達成」と明記されており,これをクリアすると次のランクに昇進します。また,上司には「部下の仕事の改善」という項目にチェックがつくので,上司と部下が1セットになって自然とフォロー体制も整います。
A自由に話せる「オープンタイム」がある
 テレワークと出社で異なるのがコミュニケーションです。「確認したいことがあるけど,MTGをお願いするほどでもない」と悩んでしまう方がいます。そこで当社では1週間に1度1時間だけ好きな時間にZOOMを空けておき,予約なく話ができる「オープンタイム」を設けています。出社の場合,どうしても仕事の途中で話しかけられ手を止めることも多いのですが,テレワークなら集中して仕事ができます。そして,このオープンタイムを設けることによりコミュニケーションも取れるようになり,文字だけでは伝わりづらい相手の感情や思いを感じ取ることができ,業務もスムーズに回っていきます。
 出社しないとできない仕事もあるでしょうが,評価に関してはテレワークでも出社でも同じです。今は工夫次第で多くの仕事がPC上で完結できます。「出社しないと評価されない」という思い込みをなくし,正しい評価と適度なコミュニケーションが取れれば世界中から人材を集めることができます。

(月刊 人事マネジメント 2021年9月号 HR Short Message より)

HRM Magazine.

 
1978年京都生まれ。「“オレ”の人生の“コン”トロールを取り戻す」という熱い思いを込め2013年「株式会社オレコン」を設立。「100%フルリモートワーク」をコンセプトに「働く時間を1/2」にして「報酬を2倍」生み出す「超採算型成果主義」の会社運営を実現。独自の採用システムによりミスマッチを軽減しスタッフの定着率は67%。ワーク・ライフ・バランスを大切にし、誰もが自由に働く仕組み作りを展開。デジタルマーケティングをベースに経営者向けの企業コンサルティングを提供している。著書に専門書では異例のAmazon3冠ベストセラーを記録した『ザ・マイクロコピー』(秀和システム)、米国マーケター・ダンケネディとの共著『常識を変えた15人の「売れる仕組み」』(ミラクルマインド出版)、DVD『社長のための悪魔の時間管理術』(K.Eメディア)がある。

>> (株)オレコン
  https://orecon.co.jp/