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仕事のコミュニケーションにゲームの要素を取り入れよう

マネジメントコンサルタント/ツナグバサンカク共同代表 川嵜昌子

■テレワークで管理が難しくなっている

 新型コロナウイルス対策で急速に普及したテレワーク。通勤しなくてもよく,自分のペースで働けるというメリットがある反面,他の社員や部署,会社の動きが見えにくく,帰属意識が低下するというデメリットもあります。さらに,人事担当者や管理職にとって頭が痛いのは,個々の社員や部下の勤務態度や状況が見えにくく,評価や指導がしづらいこと。また,誰かが何らかの悩み,課題を抱えていても分かりにくいことです。社員も様々で,自ら積極的に情報発信し,コミュニケーションをとろうとする人もいれば,受け身の態度で密かに会社や管理職に不満を募らせ,モチベーションを下げる人もいます。
 人事担当者や管理職は,意識して個々の社員や部下とコミュニケーションをとる必要があります。その際,取り入れたいのがゲームの要素です。

■取り入れたい9つのゲームの要素

 拙著『自分をサクサク動かすセルフマネジメント』(総合科学出版刊)でも触れていますが,ビジネスや学習,医療・健康などゲーム以外の領域で,ゲームの考え方,メカニズムを取り入れて,モチベーションを高める「ゲーミフィケーション」という手法があります。これを仕事でのコミュニケーションに取り入れ,社員のモチベーションを高め,管理すると非常に効果的です。
 以下の9つの要素を意識して,ぜひ実践してみてください。
ゲームの要素1:ゴールが明確……いつまでに,何が,どうなっていればよいのかという,具体的なゴールがあり,それを互いに理解していることです。漠然と「がんばれ」「よろしく」と言われても,何をどうがんばればよいのか分かりません。
ゲームの要素2:やることが明確……具体的に何をどうすることで,ゴールにたどり着くのか,攻略の方法,手順が明確でないと行動につながりません。
ゲームの要素3:やることが難しすぎない……簡単なステージをクリアしたら,少し難しくなる。各人の能力に応じて,徐々に難易度が上がっていく仕組みが理想的です。
ゲームの要素4:自分でコントロールできる……自分で選んだり,工夫できたりする部分があったほうが,社員が自分事として取り組めます。
ゲームの要素5:すぐに反応が返ってくる……人事担当者や管理職は,社員や部下の行動に対して,即座に何らかのフィードバックを返すようにしましょう。反応がないのは,無視されているようで,やる気を失います。感謝や労いの言葉も忘れずに。
ゲームの要素6:状況が明確……数字などで現状が分かり,続けることによってステップアップの可能性が感じられれば,目指す目標になります。逆に「全体像」も「現在地」も分からず,「フィードバック」もなければ,努力の甲斐があったのかどうか分かりません。
ゲームの要素7:勝敗が明確……アマチュアのスポーツのように楽しい勝負,もしくは自分との勝負を取り入れ,社員のやる気,達成感が高まる仕組みを作るとよいでしょう。
ゲームの要素8:何度でもやり直せる……勝負は何度も気軽にチャレンジできる仕組みにすると,「また勝つぞ」「今度は負けないぞ」という気持ちになります。
ゲームの要素9:達成感などポジティブな感情が得られる……ゴールが明確で,やることも明確,徐々に難しくなる仕組みで,自分で工夫もできる。フィードバックも得られ,状況が明確,何度でもトライできれば,達成感につながります。

(月刊 人事マネジメント 2021年12月号 HR Short Message より)

HRM Magazine.

 
東京のベンチャー企業の創業期メンバーとして、立ち上げに携わり、自社の急成長、東証一部上場という経験を得た後、独立して拠点を九州に移す。5,000社以上の経営者を取材、コンサルティングするなかで、感情のマネジメントが成功の鍵と確信。アンガーマネジメント、モチベーションマネジメント他の研修、相談を行っている。主な著書に『仕事もプライベートもうまくいく!女性のためのアンガーマネジメント』『アンガーマネジメント経営者の教科書』『アンガーマネジメント管理職の教科書』。一般社団法人日本アンガーマネジメント協会 参事。一般社団法人モチベーション・マネジメント協会 モチベーション・マネジャー Advanced。内閣府認証特定非営利活動法人日本経営士協会 経営士。

>> マネジメントコンサルタント川嵜昌子のサイト
  https://masakokawasaki.com/